文字起こしモデルの比較と選び方
このツールで選べる 10 種類の文字起こしモデルを、5 言語の同じ音声で測定しました。誤り率は認識を誤った割合で、処理時間は 1 時間の音声にかかる時間の目安です。どのモデルを選ぶか迷ったときは、まず「言語と端末ごとのおすすめ」をご覧ください。
測定日: 2026年10月29日
言語と端末ごとのおすすめ
日本語
WebGPU が使える PC では、Haas-ja v1.0(710 MB)が最も正確です(誤り率 5.2%)。処理時間も SenseVoice Small の約 3 分の 1 です。Chrome・Edge で WebGPU が使える PC(M1 以降の Mac を除く)では、初期設定でこのモデルになります。スマホと WebGPU が使えない PC では、初期設定の SenseVoice Small(240 MB)を選んでください。Whisper Large v3 Turbo(1.5 GB)と同じ程度の精度で、処理時間は半分以下です。
中国語・韓国語
中国語では、初期設定の SenseVoice Small が Whisper のどのモデルよりも正確です。韓国語では、WebGPU が使える PC なら Whisper Large v3 Turbo(誤り率 5.0%)と Large v3(4.6%)の方が、SenseVoice Small(7.9%)より正確です。どちらの言語でも、WebGPU が使える PC では Qwen3-ASR 1.7B が SenseVoice Small と同じ程度か、それ以上の精度です。
英語
WebGPU が使える PC では、Whisper Large v3 Turbo(誤り率 5.8%)か Medium(5.7%)で十分な精度が得られます。最も正確なのは Qwen3-ASR 1.7B(4.3%)ですが、初回に約 5.2 GB を取得し、GPU のメモリを約 5 GB 使います。スマホでは SenseVoice Small(9.0%)を選んでください。
スペイン語・ドイツ語などそのほかの言語
WebGPU が使える PC では Whisper Large v3 Turbo を選んでください。スペイン語では、Large v3(誤り率 6.2%)より Turbo(4.4%)の方が正確で、処理時間も短くなります。スペイン語で最も正確なのは Qwen3-ASR 1.7B(4.1%)です。スマホと WebGPU が使えない PC では、Whisper Small 以上を選んでください。
スマホ
日本語・中国語・韓国語・英語では、初期設定の SenseVoice Small を選んでください。スマホでは Whisper を軽量化した版(8 ビット)で処理するため、Tiny は日本語の誤り率が 70% を超えます。そのほかの言語では Whisper Small が最も正確ですが、処理に音声の長さに近い時間かそれ以上がかかります。長い音声では Whisper Base も選択肢になります。
WebGPU は、ブラウザから GPU を使って計算する仕組みです。PC 版の Chrome・Edge などで使えます。
文字起こしツールを開く言語ごとの誤り率
誤り率は、認識結果を正解の文と比べて誤った割合です。小さいほど正確で、日本語・中国語・韓国語は文字単位、英語・スペイン語は単語単位で数えています。各言語で最も誤りが少ないモデルを色付きで示しています。表は WebGPU が使える PC で動作させたときの値です。
| モデル | 日本語 | 英語 | スペイン語 | 韓国語 | 中国語 |
|---|---|---|---|---|---|
| Haas-ja v1.0 | 5.2% | — | — | — | — |
| SenseVoice Small | 8.6% | 9.0% | — | 7.9% | 7.9% |
| Whisper Tiny | 44.4% | 16.0% | 21.1% | 20.4% | 30.1% |
| Whisper Base | 26.3% | 11.5% | 13.2% | 13.7% | 24.0% |
| Whisper Small | 14.1% | 7.3% | 7.6% | 7.2% | 14.5% |
| Whisper Medium | 8.7% | 5.7% | 5.3% | 5.7% | 9.8% |
| Whisper Large v3 Turbo | 8.9% | 5.8% | 4.4% | 5.0% | 9.9% |
| Whisper Large v3 | 6.9% | 5.6% | 6.2% | 4.6% | 11.5% |
| Qwen3-ASR 1.7B | 8.0% | 4.3% | 4.1% | 5.1% | 7.7% |
| Voxtral Mini 4B | 6.1% | — | — | — | — |
「—」は、その言語ではこのツールでそのモデルを選べないことを示します。読み上げた音声での測定なので、雑音のある録音や複数の人の会話では、どのモデルも誤り率が上がります。
処理時間と取得サイズ
処理時間は、当サイトの測定用 PC(AMD Ryzen 7 8745H、内蔵 GPU Radeon 780M)で 1 時間の音声を文字起こしするのにかかる時間の目安です。取得サイズは初回だけダウンロードする量で、2 回目からはブラウザに保存したモデルを使います。
| モデル | 1 時間の音声の処理時間 | 初回の取得サイズ | 動作する環境 |
|---|---|---|---|
| Haas-ja v1.0 | 約 2 分 | 〜710 MB | WebGPU が使える PC(GPU のメモリを約 1 GB 使用) |
| SenseVoice Small | 約 7 分 | 〜240 MB | PC・スマホ(CPU で処理) |
| Whisper Tiny | 約 5 分 | 〜145 MB | PC・スマホ |
| Whisper Base | 約 6 分 | 〜280 MB | PC・スマホ |
| Whisper Small | 約 10 分 | 〜925 MB | PC・スマホ |
| Whisper Medium | 約 19 分 | 〜650 MB | WebGPU が使える PC を推奨(CPU では 1 時間の音声に数時間かかります) |
| Whisper Large v3 Turbo | 約 16 分 | 〜1.5 GB | WebGPU と GPU の 16 ビット計算(fp16)に対応した PC を推奨(対応していない端末では CPU で処理し、数時間かかります) |
| Whisper Large v3 | 約 23 分 | 〜2.0 GB | WebGPU と GPU の 16 ビット計算(fp16)に対応した PC |
| Qwen3-ASR 1.7B | 約 19 分 | 〜5.2 GB | WebGPU が使える PC(GPU のメモリを約 5 GB 使用) |
| Voxtral Mini 4B | 約 50 分 | 〜2.9 GB | WebGPU と GPU の 16 ビット計算(fp16)に対応した PC(GPU のメモリを約 5 GB 使用。内蔵 GPU は RAM 16 GB 以上) |
GeForce などの単体 GPU を搭載した PC ではこれより短く、古い PC では長くなります。SenseVoice Small は GPU を使わず、CPU で処理します。
スマホと WebGPU が使えない PC の場合
スマホと WebGPU が使えない PC では、Whisper を軽量化した版(8 ビット)を CPU で動作させます。誤り率は PC の GPU で動作させたときより高くなり、特に Tiny は大きく悪化します。
| モデル | 日本語 | 英語 | スペイン語 | 韓国語 | 中国語 | 1 時間の音声の処理時間 | 初回の取得サイズ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SenseVoice Small | 8.6% | 9.0% | — | 7.9% | 7.9% | 約 7 分 | 〜240 MB |
| Whisper Tiny | 70.5% | 28.3% | 31.5% | 30.2% | 51.0% | 約 10 分 | 〜40 MB |
| Whisper Base | 31.2% | 12.1% | 14.0% | 15.2% | 25.1% | 約 15 分 | 〜75 MB |
| Whisper Small | 14.8% | 7.6% | 7.7% | 7.4% | 14.3% | 約 45 分 | 〜240 MB |
処理時間は測定用 PC の CPU(1 スレッド)での値です。スマホではこれより長くかかります。Medium 以上の Whisper は、CPU では 1 時間の音声に数時間かかります。
測定から分かったこと
- 大きいモデルほど正確とは限りません。Whisper Large v3 は日本語・韓国語では Large v3 Turbo より正確ですが、スペイン語・中国語では Turbo より誤りが多く、処理時間は約 1.4 倍です。
- 日本語と中国語では、240 MB の SenseVoice Small が 1.5 GB の Whisper Large v3 Turbo と同じ程度か、それ以上の精度です(日本語 8.6% と 8.9%、中国語 7.9% と 9.9%)。
- Whisper Medium は Large v3 Turbo とほぼ同じ精度で、取得サイズは半分以下(650 MB と 1.5 GB)です。処理時間は Turbo の約 1.2 倍です。
- Qwen3-ASR 1.7B は、英語・スペイン語・中国語で最も誤りが少ないモデルです。
- 日本語で最も誤りが少ないのは Haas-ja v1.0(5.2%)で、SenseVoice Small(8.6%)より誤りが約 4 割少なくなります。処理時間も SenseVoice Small の約 3 分の 1 です。
- スマホと同じ CPU の経路では、Whisper Tiny の誤り率が大きく上がります(日本語で 44.4% から 70.5%)。Small はほとんど変わりません。
測定の方法
- 音声は、Google が公開している多言語の音声認識の評価用データ FLEURS(読み上げ音声)のテスト用の分から、各言語 100 発話を等間隔に選びました。
- このツールと同じプログラム(transformers.js 4.2.0)・同じ軽量化の形式・同じ処理(Whisper に与える初期の文と、結果が空になった区間の出し直し)で、ブラウザ上で文字起こししました。
- 句読点・空白・全角と半角の違いを除いてから正解の文と比べました。中国語は簡体字にそろえ、英語は Whisper の評価で使われている表記の正規化を通しています。
- 測定用 PC は AMD Ryzen 7 8745H(内蔵 GPU Radeon 780M)、メモリ 32 GB、ブラウザは Chromium 153 です。処理時間にはモデルの読み込みを含みません。
- Haas-ja v1.0 と Voxtral Mini 4B は日本語だけ、SenseVoice Small はスペイン語を除く 4 言語だけを測定しました(このツールで選べる言語だけです)。Voxtral Mini 4B はほかのモデルの前日に、Haas-ja v1.0 は 2026 年 11 月 3 日に、同じ PC・同じ音声で測定しました。
- Qwen3-ASR 1.7B の処理時間は、時刻を付ける別のモデルの処理を含めるため、このツールの画面で日本語の音声(108 秒)を文字起こしして測りました。
よくある質問
大きいモデルほど正確ですか?
必ずしもそうではありません。Whisper は Tiny から Medium までは大きいほど正確ですが、Large v3 はスペイン語と中国語で Large v3 Turbo より誤りが多くなりました。日本語と中国語では、小さい SenseVoice Small が Turbo と同じ程度の精度です。
スマホではどのモデルを選べばよいですか?
日本語・中国語・韓国語・英語では SenseVoice Small を選んでください。初期設定でもこのモデルになります。そのほかの言語では Whisper Small が最も正確ですが、処理に時間がかかるため、長い音声では Whisper Base も選択肢になります。Tiny は誤りが多いため、おすすめしません。
初期設定のモデルはどのように決まりますか?
選んだ言語と端末の性能から自動で決まります。日本語では、PC の Chrome・Edge などで WebGPU が使え、メモリが 4 GB 以上あれば Haas-ja v1.0 です(M1 以降の Mac を除く)。スマホや Safari・Firefox などで使うときの日本語と、中国語・韓国語では SenseVoice Small です。英語とそのほかの言語では、GPU とメモリに合わせて Whisper のいずれかが選ばれます。英語で Whisper Base 以下が選ばれる端末(スマホや内蔵 GPU の PC など)では、SenseVoice Small になります。
会議の録音でも同じ誤り率になりますか?
なりません。この測定は 1 人が読み上げた音声を使っているため、雑音のある録音や複数の人の会話では、どのモデルも誤り率が上がります。モデルどうしを比べる目安としてお使いください。
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